知的財産推進計画2025とは。AIの利用推進と権利保護の確立へ
政府の知的財産戦略本部は2025年6月3日、「知的財産推進計画2025」を発表しました。
本計画は、DXの加速や経済安全保障の確保などの現代的な課題の解決と、AIなどの先端デジタル技術の活用、スタートアップの支援を目指しています。
また、知的財産の保護や活用を促進し、国際競争力強化のための戦略的な取り組みをまとめています。
日本の現状と今後の方向性
日本は、2024年の「グローバルイノベーション指数」が13位と、他の先進国に比べて遅れを取っているのが現状です。(アメリカ:3位、韓国:6位など)
出典:グローバル・イノベーション・インデックス 2024 : エグゼクティブ・サマリー
人口減少に伴う国内市場の頭打ちが見えている一方、グローバル市場は引き続きの成長が予想されており、今後のAI技術の急激な発展と社会システムの変革が予測できます。
今回策定された「知的財産推進計画2025」では、日本の経済成長と国際競争力を再度獲得するために、「AIをはじめとするデジタル技術の活用と知的財産の強化が必要である」という方向性を示しています。
「イノベーション指数」上位4位以内を目指す
引用:首相官邸ホームページ
政府は2035年までに、WIPOの「グローバルイノベーション指数」において、上位4位以内を目指すとしました。そのために「IPトランスフォーメーション」と呼ばれる、日本が持つ知的財産を戦略的に活用し、国内外の社会課題の解決を図る「新たな知的創造サイクル」の構築を目指すことを掲げています。
KPIとして、2035年までの「グローバルイノベーション指数の上位4位以内」に加え、「日本市場の時価総額に占める無形資産の割合を2035年までに50%以上に高める」ことを挙げました。
また、これらのKPIの達成のため、
- イノベーション拠点としての競争力強化
- AI等先端デジタル技術の利活用
- グローバル市場の取込み
の3つの柱を策定。「イノベーションの加速」や「国際競争力の強化」を推進し、グローバル市場の獲得を狙うとしています。
第一の柱「イノベーション拠点としての競争力強化」
イノベーションの加速には、まず人材基盤の強化が重要になります。知的教育環境の普及によるイノベーション人材の育成、および高度な知識を持つ海外人材の受け入れの促進が必要です。
また、研究開発への投資増大と無形資産の価値向上も求められています。主要国の研究開発費は増加しているにもかかわらず、日本の研究開発費は伸び悩んでおり、時価総額に占める無形資産の割合の低さも問題となっています。
さらに、国際的求心力のある知財制度の実現のため、制度のグローバル化に加えデジタル化も重要です。DX時代の産業財産権のあり方を検討し、イノベーションの保護と促進のための仕組みを構築する必要があります。
これらの取り組みを通じ、日本が海外のイノベーション人材にとって魅力的な研究拠点になることを目指すとしています。
第二の柱「AI等先端デジタル技術の利活用」
AIの有効活用に伴う生産性の向上・創造活動の迅速化により、人口減少下においても知的創造サイクルを進める必要があります。
AIの利活用が進まない要因として考えられる「生成AIを用いるクリエイターや権利者が持つ懸念への対応」や「現状不透明な発明・創作などの知財における制度や考え方の明確化」を行い、AIの利用を推進するとしています。
第三の柱「グローバル市場の取込み」
アニメやマンガ、ファッションといった、クールジャパン関連産業を基幹産業と位置付け、「2033年までに合計50兆円以上の海外展開規模」を目標に据えました。
クールジャパン関連産業の海外展開の推進に加え、経済界・学術界への働きかけ、人材・サービスの育成、各国との連携を強化し、産学官で戦略的に国際標準化を目指します。
AI技術の進歩促進と知的財産権の保護
引用:首相官邸ホームページ
AIの市場規模や研究費は日々増加している一方、日本の生成AIの活用は海外に大きく遅れを取っているのが実情です。原因として、AI技術の急速な発展に、知的財産権などの制度づくりが追いついていないことが挙げられます。
「知的財産推進計画2025」では、AI技術の進歩を促進しつつ、クリエイターや開発者の権利を適切に保護するための新たな枠組みづくりが必要としています。
AIライセンス市場と権利者への対価還元
生成AIによるコンテンツ作成が増加している中で、学習データの利用に関する透明性の確保や、権利者への適切な対価還元を可能にするライセンス市場の形成が課題となっています。
「AI事業者ガイドライン」などを通じて、AI事業者による適切な情報開示対応を促し、権利者と開発者の間で公正な取引が行われるような環境の整備を進めるとしています。
AI開発者の地位の明確化
AIが生成したコンテンツの権利帰属や、AI開発者が負うべき責任の範囲など、現在の法整備では位置付けが不明瞭な部分があります。
AI開発者の法的な地位を明確化し、イノベーションを阻害せずに知的財産制度が技術の発展に寄与するような制度設計を行う必要があると述べています。
イノベーションの促進でAIが普及する社会に
「知的財産推進計画2025」に記載されているように、AIにより生成された発明やコンテンツの権利帰属、学習データの利用に関する制度の整備が進められます。
AIの権利と責任の明確化、透明性の確保により、企業や研究機関は安心してAIの研究・開発に費用を投じられるようになり、一層のイノベーションの促進に期待できます。
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