孤立効果(フォン・レストルフ効果)とは?活用方法や注意点について
孤立効果(フォン・レストルフ効果)とは?
この記事を読むための時間:5分
孤立効果、もしくはフォン·レストルフ効果という言葉を聞いたことがありますか?
これは、WEBデザインに携わる人であれば、必ず知っておいてほしい基本原則のひとつです。
もしあなたがこれからWEBサイトをデザインすることになったとして、孤立効果を意識しないでデザインしてしまうと、訪問してくれたユーザーの記憶に残りにくいサイトになる可能性があります。その結果、ユーザーに「登録」や「問い合わせ」といったアクションを起こしてもらえなくなります。
この記事では、そんな孤立効果について詳しく解説していきます。ぜひWEBデザインをする際の参考にしてみてください。
目次
孤立効果(フォン・レストルフ効果)とは
似たようなものや、同じパターンで並んだものが多くあった場合に、その中にひとつだけ変わったものや特徴的なものがあると無意識に印象に残りやすくなる効果のことです。
これはとても古典的な心理学上の理論で、1933年にドイツの精神科医・小児科医であったヘドヴィッヒ・フォン・レストルフによって提唱されました。
具体例
孤立効果が起こる具体例を確認していきましょう。
まず、これからいくつかの単語をお見せします。30秒間で、できるだけ多く記憶してみてください。
ビーチバレー
フェンシング
トライアスロン
サーフィン
ホッケー
トランポリン
テコンドー
スケートボード
いかがでしょうか?
馴染みのあるワードは記憶できたかもしれませんが、全部を覚えるとなると大変です。
ほとんどの人は、最初に出てきた「ビーチバレー」や、最後の「スケートボード」は記憶に残りやすいですが、中盤の部分はなかなか覚えられなかったかもしれません。
では、今度は次の単語を一瞬だけ見てみてください。
ビーチバレー
フェンシング
トライアスロン
サーフィン
日本
ホッケー
トランポリン
テコンドー
スケートボード
いかがでしょうか?
今回は「日本」というワードが1番最初に目に入ったのではないでしょうか?
さらに、次のワードも一瞬だけ見てみてください。
ビーチバレー
フェンシング
トライアスロン
サーフィン
ホッケー
トランポリン
テコンドー
スケートボード
今度は「サーフィン」が1番最初に頭に入ってきたはずです。
この現象こそが孤立効果です。
上の例では、スポーツの名称を並べた中で、「日本」というスポーツに関係ないワードが出てきたり、「サーフィン」のように他と色が違うワードが出てきました。
このように、似ているカテゴリーの中に、ひとつだけ変わったものがあると、無意識で人の印象に残りやすくなるのです。他と違う特徴が際立っているほど、この効果も大きくなります。
孤立効果の実験
孤立効果の実証のために、以下のような実験も行われました。
実験方法
- 被験者にいろいろな動物が映っている写真を見せる
- その中から、シマウマやトカゲを探すように指示する
- 被験者の目の動きを観察して、実際に何の動物に注目しているかを確認する
実験結果
被験者の目の動きは、シマウマやトカゲではなくライオンや蛇に向けられていました。
このことから、人は自分にとって脅威と感じるもの、つまり特徴的なものに意識が向くということがわかりました。
孤立効果の活用法
この効果は、WEBデザインでも活用することができます。
WEBサイトのデザインを決める上で、サイトのイメージを調和させるために全体を同系色でまとめてしまうと、ユーザーにとって印象に残りにくいサイトになってしまいます。
そのため、サイトで押し出したい部分や重要な部分に関しては、ユーザーにしっかり意識してもらうために、色・サイズ・画像などによる表現を目立つように工夫する必要があります。
以下で詳しく解説していきますので、参考にしてみてください。
CTAボタンを強調する
WEBサイトにおいて、問い合わせフォームや申し込みフォームにつながるボタンのことを「コンバージョン(=最終的に獲得できる成果)ボタン」といいます。
これは、サイトを訪れたユーザーに資料請求してもらったり問い合わせをしてもらったりといった、何らかのアクションを促すためのボタンです。そのため、「CTA(コール・トゥ・アクション)」や「CTAボタン」とも呼ばれています。
WEBサイトを運用する目的の多くは、ユーザーに対してこのCTAボタンをクリックしてもらい、購入・登録・問い合わせ・検索等のアクションを取ってもらうことです。そのため、このCTAボタンを強調することが重要なのです。
CTAボタンを目立たせるためには、以下の項目を意識してデザインしましょう。
色
背景や周りのデザインと同系色を使ってしまうと、他の要素と同化してボタンであると気づかれません。そのため、CTAボタンには周りの補色となる色や、明度・彩度が異なる色を使用してください。
大きさ
小さなボタンだとユーザーに気づかれにくくなります。そのため、ボタンのサイズは大きめに作り目立たせるようにしましょう。
スタイル
サイト全体が四角で囲まれているようなデザインなら、CTAボタンは丸くしてみると、特徴が出て目立ちやすくなります。他には傾斜をつけることでも目立たせることができます。
質感
質感とは、フラットさや立体感のことです。サイトがフラットなデザインで作られているなら、CTAボタンは立体的なデザインにしてみると、ユーザーもボタンだと分かりやすくなります。
フォント
周りの文字と同じフォントのままだと目立ちにくいです。そのため、周りに比べて太字にしたり縁取りをしたりなどして、変化をつけてみましょう。
変化
技術が必要となりますが、ボタンにマウスを乗せると色が変わるようにしたり、動きが出るように変化をつけることも効果が大きいです。そうすることでユーザーはボタンであると認識しやすくなります。
売りたいサービス・アイテムを強調する
最も高価なもの・ベストセラーのアイテム・新商品といった、ユーザーに1番売り出したいサービスや商品があると思います。そういったものは、他の商品とは違う特徴的な色やフォント、画像を使うなど、孤立効果を適切に使って強調しましょう。
そうすることでユーザーの注目を集めやすくなります。
ページを分割する
目立たせたい情報が多くなりすぎると、孤立効果がうまく働かなくなってしまいます。
そのため、1ページの中で特徴的なコンテンツが複数ある場合には、ページを分割して情報を分散するといった対応が必要です。
孤立効果の注意点
孤立効果をうまく働かせるためには、似たようなものや、同じパターンで並んだものの中に特徴的な情報を入れる必要があります。
つまり、WEBサイトで孤立効果を働かせるためには、掲載されている情報の多くが似ていて統一性があるデザインのページの中で、特徴的な情報が強調されている必要があります。
しかし、以下のようなサイトの場合は孤立効果がうまく発揮されない可能性があるため注意が必要です。
- 統一感がないサイト
- 強調させたいコンテンツが配置されすぎて、特異性が失われているサイト
まとめ
孤立効果を利用して強調されたものは、無意識に記憶に残りやすくなります。
こうした働きは、WEBデザインでも活用することができます。
WEBサイトを運用する上での大きな目的であるコンバージョンのため、孤立効果を利用してCTAボタンを強調させることが可能です。
WEBデザインに携わっている方は、ぜひ孤立効果を活用してみてください。
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