韓国兵役とBTS法案、期間と年齢や免除になる理由など
今や私たちにとってK-POPは日本文化に溶け込んでいますが、いつの時代でも直面する問題の一つが兵役問題についてではないでしょうか。
若い世代から練習生として芸能活動に取り組んできた彼らが絶頂期に必ず直面する問題がこの兵役に関してと言っても過言ではないはずです。
今世界中で旋風を巻き起こしている7人組K-POPグループBTSの兵役問題についてまとめました。
なぜ政治話題に取り上げられるのか
日本でもニュースに取り上げられたBTS法案について目にした方は多いのではないでしょうか。
大きな理由の一つが日本円で約5兆円とまで言われるBTSによる経済効果が考えられます。
兵役から除隊後は俳優陣は一皮向けて芸にいい磨きがかかるなどメリットがあるとしても、トップアイドルが除隊後に入隊前と変わらず活躍している前例がないため経済効果の大幅ダウンに直面するのは必至だからです。
一方で、韓国国民にとっても年々進む人口減少に伴う兵役力の減少は危機的状況。
この法案は国の経済と軍事力の両面での問題なのでそう簡単な判断では無いのです。
一般論として韓国国内ではこの兵役に行かないと就職ができなかったり非難の的になったりするようですが、実際のところは兵役逃れという言葉があるほどこの兵役に服務することは大変だと言われています。
韓国における兵役制度とは何なのか
満20歳〜満28歳の韓国人男性が約2年間国防のために兵役義務を担うもので、入隊前の徴兵検査において心理検査、身体検査、適性検査、兵役処分判定によって詳細に検査が行われます。
兵役処分判定とは5段階に分けられ、下記の様に判定されます。
①1〜3級:現役(現役兵)
②4級:補充役(社会服務要員)
③5級:第二国民役(有事時出動)
④6級:兵役免除
⑤7級:再検査
①②の1〜4級の判定を受けた者が入隊となり、それぞれが陸軍や海軍、空軍などへ配属先が決まります。
また、この約2年の兵役期間を終えても除隊後の8年間は予備役(予備軍)として、40歳までは民防衛として国防の義務があります。
これもひとえに朝鮮半島南北が対峙する現実が続いていることもあり、韓国の成人男性にはこの兵役が義務化されているからです。
下記表は①②の1〜4級の判定者の主な配属先と期間をまとめたものになります。
形態 |
配属先 |
期間 |
現役 |
陸軍/海兵隊 |
1年6ヵ月 |
海軍 |
1年8ヵ月 |
|
空軍 |
1年9ヵ月 |
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常勤予備役 |
1年6ヵ月 |
|
代替服務 (専門研究要員) |
3年 |
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代替服務 (産業技能要員) |
2年10ヵ月 |
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代替服務 (学軍士官候補生、ROTC) |
4〜5年 ※陸・海・空軍により異なる |
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現役 (転換服務要員) |
義務警察 |
1年6ヵ月 |
義務警察(海洋) |
1年8ヵ月 |
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義務消防員 |
1年8ヵ月 |
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補充役 |
社会服務要員 |
1年9ヵ月 |
芸術体育要員 |
2年10ヵ月 |
|
専門研究要員 |
3年 |
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産業技能要員 |
1年11ヵ月 |
過去芸能人の入隊部隊として話題になった例として、愛の不時着で一躍人気となったヒョンビンやBTSのV出演のドラマで共演したSHINeeミンホは軍の中でも最も厳しいとされる陸軍海兵隊へ自ら志願して入隊したとのことも。
また、様々な兵役業務を調べているうちに陸軍であれば同伴入隊ができたり服務形態によっては芸能活動の延長のようなことができたりする場合もあるようです。
入隊の際、正式には配属される前の新兵訓練所入所の際は家族や友人などが集まりお見送りすることがあり、芸能人では数百人に及ぶファンが駆けつけた例もあったようですが、コロナ禍においては入隊日や場所など事前にファンに知らされることはなくSNSでの入隊報告が主流のようです。
また、入隊中のお手紙や贈り物なども出せるようですが他の入隊中の隊員の荷物が遅れるなどの理由で断るスターもいるとのこと。
もしBTSメンバーが入隊することになった際はお見送りも贈り物に関しても彼らの意向に従いましょう。
気になるBTSメンバーの兵役に関して言及しているのは最年長メンバーであるジンの言葉で、下記のように語っています。
BTS兵役法/兵役法改正案
通常の兵役法では年齢が満20歳〜満28歳まで入隊とされていますが、2020年12月に兵役法の改正案によりBTSなどの特定のポップスターらの入隊が満28歳から満30歳まで延期できる法案が可決されました。
兵役が免除される理由としては大きく分けると
①精神的不健康な場合
②身体的不健康な場合
③家計を支える者で不在になると家族生活が崩壊してしまう場合
④ 功績を収めたスポーツ選手は兵役特例により兵役免除に
この4つに分けられ、このような理由に該当した有名芸能人や著名人において兵役免除された例も少なくはありません。
しかし、今回のBTS法案は兵役免除と言っても全くの免除というわけではなく、基礎軍事訓練とされる約1ヵ月間の新兵訓練は必ず受けるとされています。
ただ、今回のBTS法案のように争点になってるのは国益への寄与度が高い大衆文化芸術家が芸術・体育要員として、自身の特技分野で一定時間(500時間以上)の奉仕活動をすればよい「代替服務」をさせるという兵役法改正を可決するか否かが焦点です。
韓国国内での賛成反対意見はほぼ半分に割れており、はっきりいうとここはもう韓国政府と彼らの徴兵検査結果の判断を仰ぐほかないです。
ちなみに次回の改正案の論議の日程は未定でした。(2022年1月時点)
が、BTSメンバー最年長のジンにおいては2022年12月に期限の満30歳を迎えるため、遅くとも今秋までには何かしらの決定があることは間違いないでしょう。
現代の日本人には馴染みのない徴兵制。
軍事力で国を守らなくても安全な平和な世界になって欲しいのが本音です。