愚痴の言い方・聞き方マニュアル【アドバイスは求めていない】
愚痴を言う人も、聞く人も幸せになる「愚痴」の作法
出来ることなら言いたくない、だけど言わずにはいられないのが「愚痴」ですよね。ストレスを溜め込んていると心身ともに消耗してしまいますし、時には友人やパートナーに愚痴を聞いてもらって発散するのは処世術だと思います。
でもたまに愚痴を言うと「それは君が悪いよ」と返されて、ますますストレスが溜まることってないですか?
また、愚痴を聞いて親身にアドバイスをしたら、不愉快そうにされた経験がある人はいませんか?
愚痴と相談は似て非なるものです。
ネットを見ると愚痴の聞き方のコツを書いているコンテンツが多く見られますが、私は愚痴を言う方にも作法があると思っています。親しくても他人なのです。言葉にしなければ真意は伝わらないと思っていたほうが無駄な失望や衝突を避けられます。
もちろん愚痴を聞く側は言葉の外にある意図を慮る姿勢が大切です。
今回は愚痴を言う側、聞く側、双方が幸せになれる愚痴マニュアルを紹介したいと思います。
愚痴マニュアル①依頼
【愚痴る人】
愚痴を聞いて欲しい時は「愚痴っていい?」とはっきり伝えましょう。カッコつけて「ちょっと相談があるんだけど」と言いながら、実際は愚痴をこぼす人がいますが、とても困ります。「相談」と言われると聞き手は助言をしなければと張り切ってしまうからです。「今から言うことは愚痴なのだ」と表明することが大切です。
その際に相手が「長くなりそう?」など難色を示した場合は速やかに他の人を探すことをおすすめします。愚痴を聞くには集中力、体力、根気、記憶力が不可欠ですので、心身のコンディションが万全ではない人は向きません。
【愚痴られる人】
上述の通り、「愚痴」と言わずに愚痴をこぼそうとする人もいます。本当に「相談ではないのか」を探るため、「でも大したこと言えないよ」と言ってみましょう。相手が「いいの、いいの、聞いてくれるだけで」と言ったら99%愚痴だと思って間違いありません。愚痴かどうかを確認した上で、現在の自分のコンディション、スケジュールと照らし合わせて、受諾するかどうかを決定します。スケジュールに関しては先方が「30分でいいから」と言っても、エンドレスに続く場合がありますので、その後のスケジュールの変更が可能かどうかを瞬時に判断する必要があります。
このように書くと「愚痴なんか聞かないほうがいい」と思われるかもしれませんが、決してそんなことはありません。お互いの幸せのために、慎重に決めたほうが良いということです。
愚痴マニュアル②場所の選定
リラックスして愚痴れる場所を選びましょう。自宅なのか、静かなカフェなのか、ファミレスなど賑やかな場所なのか。愚痴る人の意向を尊重し、決定します。愚痴のターゲットとなる人やその関係者が訪れる可能性があるところは絶対に避けましょう。心置きなく愚痴るために、少しでも鉢合わせの心配があれば他の場所にするべきです。
なお、お金がかかる場所であれば、相手に時間を取って愚痴を聞いてもらうのですから、愚痴る人が負担する(もしくは多めに払う)のがマナーだと思います。
愚痴マニュアル③最終確認
【愚痴る人】
着席と同時に「ねえ、聞いてよ~」と語りだしたい気持ちだと思いますが、グッと抑えて、もう一つ確認しておかなければならないことがあります。
相手が「愚痴=アドバイスは求めていない」と理解していないこともあるのです。体感として、およそ4割の人がまだ相談だと思っています。
そのため、愚痴る前に「アドバイスはいいので、とりあえず聞いてね」とさりげなく念を押しましょう。
なぜ依頼時にこの話題を出さないかというと、感じが悪いからです。
相手の自尊心を傷つけないようさりげなく、しかし明確に伝えることがポイントです。
【愚痴られる人】
愚痴を聞く行為は「おもてなし」です。相手が話しやすい環境作りを心掛けましょう。向かい合わせだと緊張して話しづらいこともあります。また、相手の話にビビッドに相槌を打てるよう、体勢を変えやすい場所に座ることをおすすめします。
家など自由がきく空間なら、一緒にお菓子を食べたり、好きな音楽をかけたりすることをおすすめします。
「何でも話していいよ」という姿勢が何より大切です。
愚痴マニュアル④愚痴開始
【愚痴る人】
いよいよ愚痴を言います。愚痴は出し切ることで半分以上解決すると言われています。ですので、思いのたけを吐き出すことに注力しましょう。言い残しが心配な方は、事前に話す内容をメモしておくことをおすすめします。
相手が愚痴の聞き手として信頼できる人(=絶対に助言をしない人)であれば、「自分に責任があると思っていること」も併せて語るとカタルシス効果が高いです。
【愚痴られる人】
愚痴られる人に求められる振る舞いは「相槌」と「共感」です。頷くだけだと単調になってしまい、「話に飽きているのではないか」と疑念を抱かれてしまいますので、多用は避けるべきです。また、相手の話を遮るのは厳禁です。
わざとらしくない程度に前のめりの姿勢で、「そうだよね」「分かる分かる」「なるほどね」など相手が話の続きを語りやすい相槌を打ちましょう。反応に困ったらオウム返しをするだけでも「聞いてくれている」と感じてもらえると思います。
なお、話を聞いているかどうかは呼吸に表れます。どの言葉に対する「そうだよね」なのか、呼吸レベルで気を配ることが大切です。
もし相手が「まあ私も悪いんだけどさ」と言い出したら、絶対同意せず、「自分で気づけるなら全然問題ないんじゃない?」とポジティブに伝えるのがポイントです。
感情が高まってくると話が矛盾してきたり、人物関係が複雑になったりすることがあります。「さっきと矛盾している」と指摘するのではなく、自分が知っている範囲で「○○さんは●●さんの上司だよね」と確認し、徐々に話を整理していきましょう。「話を聞いてくれている」と安心してくれるはずです。
愚痴マニュアル⑤愚痴の終え方
【愚痴る人】
愚痴を聞くのは疲れます。いつまでもダラダラ続けるのは無作法です。言いたいことを全て言い終えたと思ったら、最大限の感謝の言葉を添えて自分から終わりを宣言しましょう。
【愚痴られる人】
愚痴を全て出し切れればフィナーレを迎えられるはずなのですが、そもそも愚痴を言う側が何を言いたいのか分からなくなるケースがあります。
ここで聞き手が「つまりこういうことが言いたいんじゃないの?」と押し付けるのは禁物です。「一番の心配は何かな?」とやさしく問い掛けましょう。そうやって愚痴の核心が見えれば自然とフィナーレが見えてきます。本当に言いたかったことを語ったら、しっかり共感した上で「どうするのがいいのかな?」と解決の糸口を引き出してあげましょう。
愚痴マニュアル⑥翌日
【愚痴る人】
丁寧な御礼メールを送りましょう。
電話や手紙だと身構えてしまう可能性がありますので、メールくらいが適切だと思います。
【愚痴られる人】
愚痴は忘れるのがマナーです。実際には覚えていたとしても忘れたように振る舞いましょう。
もちろん誰かに聞いた内容を漏らすのは絶対にやってはならないことです。信頼感の低下、友人の離脱を覚悟するべきです。
うまくやれば愚痴は最高のメンタルヘルス&コミュケーション術
一般的に「男性は愚痴を聞くのが下手」と言われています。仮にそうだとすれば男性は甘えてはいけませんし、女性は真意を伝えてこなかった責任があると思います。
愚痴は作法であり、正しい知識と真っ当な理性のある人なら気持ちよく愚痴を言えるし、聞けます。
愚痴を言うことで問題を解決する人、愚痴を聞くことで信頼を高める人が増えることを願っています。
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