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人工知能(AI)によるSEO対策は果たして可能か?

 

ここのところ、「AI(人工知能)を使ったSEO対策」という言葉を耳にするようになってきました。当社のお客様からも「果たして、そんなことが可能なのか?」「可能だとしたらどのような仕組みなのか?」といった質問が寄せられたので、一度検証してみようと思いこの記事を書きました。結論、AIによる完全自動のSEOなどは不可能だという考えに至りましたが、ここではその考えに至った経緯を書いていきたいと思います。

 

「AI(人工知能)でSEO対策」を謳っている会社を調べてみた

 

実際、AIによるSEO対策とはどのようなものなのか、いくつかの会社のホームページをみてみました。「最新テクノロジー」や「第4次産業革命」などのセンセーショナルな言葉が並んでいるサイトが多いですが、「AIを使ってどうSEO対策をするのか?」という肝心なところは、専門的に見ると全くよくわからないという印象を受けました。

 

そこで、実際にその会社のホームページが上位表示されているかを調べてみましたが、「AI SEO」などで上がってきていても、「SEO+地域名」や「SEO 見積もり」などのビッグキーワードでは全くヒットしていませんでした。SEO対策の実力というのは、その会社が自社でどれだけ上位表示できているか、クライアントサイトの上位表示実績をどれだけ持っているかが重要になりますが、実績がちゃんと公開されているサイトもほとんど見当たりませんでした。

 

AI(人工知能)ビジネスの本質を考える

 

今は、第3次AIブームの真っ只中にあると言われています。最初のAIブームはなんと朝鮮戦争が起こった1950年代。その当時、有名な「ダートマス会議」というコンピューター科学者が集まるフォーラムの中で、「コンピューターによる知性のシミュレートは可能か」という議論の中から、初めてAI(人工知能)という概念が登場しました。そこから、AIブームに一気に火が付きましたが、数年ですぐに収束。「AI冬の時代」がやってきました。その後、第2次AIブームが起こり、今回で3回目になります。結論、毎回「新たな技術の発見」→「過剰な期待・幻想」→「幻滅」が繰り返されているという歴史があるのです。

 

今回のAIブームは過去最大のもので、まるで「なんでもAIに置き換えられる」という幻想を世間一般の方がイメージしていますが、よくよく技術を検証していくと、まだまだ遠い道のりだということがわかります。「AI」という言葉が一人歩きして過剰な幻想を抱かせているのです。当然、その語感やイメージに便乗してビジネスをする輩も出てくるでしょう。

出典:松尾 豊著KADOKAWA『人工知能は人間を超えるか ディープラーニングの先にあるもの』

 

現在、AI(人工知能)ができる事は?

 

現在のところ、AI技術の中核は「音声認識」「画像認識」「自然言語処理」と「機械学習」です。「音声認識」と「画像認識」は読んで字のごとくで、「自然言語処理」とは、言葉のもつ意味を理解する能力になります。これらの技術は実は第3次AIブーム以前もありましたが、今回のブームを巻き起こしたきっかけになったのは、「機械学習(ディープラーニング)」だと言われています。今までは、AIが画像をみて「これはバナナだ」などと認識するレベルに止まっていたのですが、そこに機械学習が加わることで、AIに膨大な数のバナナの画像を見せると「このバナナはフィリピン産だ」とか「そろそろ食べごろだ」などと判断できるようになってきたのです。そのような機械学習によりGoogleが開発したアルファ碁のように、囲碁の世界チャンピオンすら敵わないAIが開発されたりしました。

 

しかし、アルファ碁は碁を打つことしかできません。人間のようにマルチタスクをこなせるAIが誕生するのは、2045年ごろだと言われています(シンギュラリティ)。少なくとも現在では、マルチタスクをこなせるAIは存在しないのです。

 

 

AI(人工知能)でSEOアルゴリズムの解析は不可能ではない。

 

AIでできるSEOがあるとすれば、アルゴリズム解析です。Googleは200を超える上位表示の判定基準を構築していて、それらを組み合わせてアルゴリズムを作っています。アルゴリズムは年々、複雑化していて現在はGoogleの検索エンジン自体にも「ランクブレイン」というAIが搭載されています。そのランクブレインがどのようなアルゴリズムで動いているかは、ビッグデータ解析を機械学習でやらせれば解析できるかもしれません。

 

例えば、Aという要素が上位表示にどの程度、影響を与えているかを知るためには、Aという要素を持っているサイトと持っていないサイトを比較して、どの程度上位表示率が違っているかを調べ、またAがないサイトにAを実装した時にどうなるのかを長期間追跡するのです。そのような要素を200以上の主要上位表示基準全てに対して追跡して、数千〜数万サイトのビッグデータを解析すれば、Googleのアルゴリズムを丸裸にできるかもしれません。しかし、それができている企業は存在しないと思います。なぜなら、アルゴリズムを解析するのは、アルゴリズムを作るよりも難しいからです。アルゴリズムを外側から見たデータだけで捉えなければならないからです。従って、Google以上のAI技術がなければ難しいでしょう。

 

サイト構造までチューニングできるAIは存在しない。

 

仮に、アルゴリズム解析ができるAIがあったとして、アルゴリズムを知るだけではSEO対策にはなりません。アルゴリズムを反映した対策をサイトに行わなければ意味がありません。では、サイト構造を自動的にチューニングできるAIは存在するでしょうか。サイト構造をチューニング(内部対策)するためには、ソースコードをいじる必要がありますが、現在のところソースコードを自動で最適化させるAIは登場していません。そんなものがあったら世の中のコーダーが失業してしまいます。

 

実際のところ、簡単なHTMLコーディングを自動で行う「AUTOCODING」というサービスがあり、以前当社でも試して見たことがありましたが、ソースコードがぐちゃぐちゃで使い物になりませんでした。※「AUTOCODING」は現在ではサービス終了してしまったそうです。

 

良質コンテンツを作成できるAIも存在しない。

 

SEO対策においてもっとも重要なのは、「良質コンテンツの作成」だということはいうまでもありませんが、コンテンツ作成もAIには今の所できません。人間が読んでも違和感のない文章をAIが作る技術はまだありません。文章を作るには言葉の意味を認識する「自然言語処理」が相当レベルに進化している必要がありますが、現状だと、まだほとんど意味はわかりません。「アレクサ」や「Siri」に話しかけても、トンチンカンな答えが返ってくる時点で、最先端のAIでもそのレベルだということです。

 

特定の情報に特化した記事作成のAIはいくつも開発されていて、天気ニュースの記事だけを書くAIや、決算情報の記事だけを書くAI(日経新聞と東京大学の共同開発)なども登場していますが、不特定のネタを記事としてかけるAIが登場するのは、まだまだ先のことになりそうです。

 

 

まとめ

 

今まで見てきたように、SEO対策をAI(人工知能)を使って完全に自動化することなどは現在のAI技術ではどう考えても不可能です。AIというセンセーショナルな言葉に便乗した新手のSEO商法だと言って良いでしょう。本気でAIを使ったSEO自動化の技術が開発できているとしたら、当然国際特許を出願するレベルですが、特許情報プラットフォームで調べてみても、そのような特許が出願されていることは確認できません。

 

そもそも、SEO業界というのはご存知の通りかなりグレーな業界です。検索アルゴリズムも頻繁に変更され、上位表示の保証もないことから、「絶対に上位表示させて見せます!ただし、保証はできません。」という世界なのです。AIという言葉が持つ革新的なイメージをうまく利用しているだけだと思います。もし、反論がある方はご連絡ください。この記事の内容を覆すような革新的な技術が本当にあるならば、ぜひ当社でも導入したいと思います。

 


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