自治体がチャットボット導入で得られる効果とは?導入事例やツールの選び方も
近年チャットボットを活用する自治体は増加傾向にあります。導入率が高まっている背景に、総務省によるデジタル化の推進や、自治体の業務と相性が良いチャットボット製品の増加が挙げられます。
しかし未導入の自治体の中には
「チャットボットを導入したところで、どんな効果があるの?」
「導入したいけど、どのチャットボットが良いかわからない」
といった疑問や悩みを抱える方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、自治体でのチャットボットの使い方や導入のメリット、最適なチャットボットの選び方について解説します。導入事例も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
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目次
チャットボットとは
チャットボットとは「チャットロボット」の略称で、自動会話プログラムのことです。ユーザーからの問いに対して、事前に登録・学習したデータをもとに選択肢や回答を提示します。
人間の代わりに顧客対応ができるため、導入により生産性向上や業務効率化といった効果が期待できます。近年ではAIの普及に伴ってチャットボットの精度が高まっており、より多くの課題を解決できるようになりました。
チャットボットについてくわしく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
チャットボットとは?AIのプロが活用例や企業が導入すべき理由を解説!
自治体でのチャットボット導入状況
総務省が実施した「AI・RPA導入状況等に関するアンケート調査」にて、令和4年度時点で約19%の自治体がチャットボットを導入していることが明らかになりました。1788の都道府県・市区町村のうち340の団体がチャットボットを利用しており、令和2年と比べて導入数は約2倍と、急速に拡大しています。
導入効果を実感している声も集まっており、人口99,000人の市町村では9ヶ月間で23,683件の問い合わせを獲得し、のべ789時間の問い合わせ時間削減を実現できたといいます。また約4割が開庁時間外に利用されるなど、利便性向上に寄与しているケースも多いようです。
一方で未導入の自治体からは課題として「コストが高額」「効果が不明」などが挙げられています。今後はチャットボット導入により得られる効果の認知が拡大すれば、より多くの自治体で採用されるでしょう。
自治体におけるチャットボットの用途
自治体では主に下記の用途でチャットボットが活用されています。
- 住民からの問い合わせ対応
- 住民・観光客への情報発信
- 自治体内のヘルプデスク
それぞれくわしく解説します。
住民からの問い合わせ対応
チャットボットを自治体ホームページや公式LINE等に設置すれば、住民からの疑問・質問に即座に答えられます。
チャットボットが無い場合、住民はサイト内で情報を探したり電話やメールで問い合わせたりしなければなりません。しかし求める情報を見つけられない、問い合わせが面倒といった理由で、解決に至らないこともあります。
一方チャットボットがあれば、手間なく疑問を解消できます。開庁時間外も稼働させられるため、日中に時間をとれない住民からの問い合わせにも対応可能です。またチャットボットが代わりに対応する分、職員の業務負担が軽減され、より重要度の高い業務に集中できるようになります。
住民・観光客への情報発信
チャットボットは事前の情報登録や学習により発信する情報をコントロールできるため、PR目的での活用が可能です。たとえば住民にキャンペーン情報を提示したり、観光客向けに知名度を高めたいスポットをアピールしたりできます。
実際に大阪府池田市のホームページには、問い合わせ対応・情報発信それぞれの役割を兼ね備えたチャットボットが設置されています。毎月発行される「保育コンシェルジュ通信」を固定メッセージに登録することで、最新情報の発信を可能にしているのです。
ホームページや回覧板での情報発信では不十分と感じている自治体は、チャットボット導入により悩みを解消できるでしょう。
自治体内のヘルプデスク
業務に関するデータをチャットボットに登録・学習させれば、庁内でのヘルプデスクとして活用できます。質問をしたり受けたりする時間を削減できるため、生産性向上につながります。業務の無駄を削減できれば、過疎地域を中心に問題となっている人手不足の解消にも効果を発揮するでしょう。
チャットボットの使い方についてくわしく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。
チャットボットの使い方:ビジネスへの活用方法と導入するメリット
自治体にチャットボット導入を勧める理由
チャットボット導入により自治体が得られる効果には下記の5つが挙げられます。
- 住民の満足度向上が期待できる
- 職員の業務効率化を図れる
- 比較的簡単に導入できる
- 住民のニーズを把握できる
- 多言語に対応できる
それぞれくわしく解説します。
住民の満足度向上が期待できる
チャットボットがあれば電話やメールで問い合わせたり、ページ数の多い自治体サイトから情報を探したりする手間がかからないため、住民の満足度が高まります。また直接問い合わせるよりも心理的ハードルが低く、気軽に質問できる点も魅力の1つです。さらに24時間365日いつでも使えるため、日中忙しい住民のニーズにも応えられます。
職員の業務効率化を図れる
従来有人で対応していた問い合わせ業務をチャットボットに任せられるため、職員は電話以外の業務に集中できるようになります。また自治体内のヘルプデスクとして導入する場合も、先輩職員の手を止めて教えてもらう必要がなくなります。
チャットボットの導入により業務効率化が実現すれば、人手不足の解消など自治体が抱えるさまざまな課題の解決も期待できるでしょう。
比較的簡単に導入できる
総務省は地方の人材不足問題や地域課題の解決に向けて、2016年よりAI導入を推進する取り組みを行っています。しかしAIツールは導入ハードルが高いものが多く、指定都市以外の市区町村では半数以上で取り入れられていないのが現状です。AIツールの「導入や運用にまとまった費用が必要」「データ整備が難しい」などの特徴が、ハードルが高いと感じる要因となっています。
しかしチャットボットは他のツールと比べて安価かつ難しい作業も少ないため、導入しやすいです。また多くの製品が登場しているため、ニーズに合ったツールが見つかりやすいという特徴もあります。
住民のニーズを把握できる
チャットボットに寄せられた質問や要望には、住民のニーズが投影されています。そのため蓄積されたデータを分析すれば、自治体運営の改善に役立てられます。
チャットボットの気軽に質問できるという特性から、電話やメールでは得られないような本音や些細な疑問も収集可能です。特に多く寄せられる質問があれば、よりわかりやすい解説ページを作成したり、サイトの目立つ箇所にリンクを設置したりといった対策を講じると良いでしょう。
多言語に対応できる
チャットボットは日本語以外の言語にも対応できるため、外国人旅行者・移住者への情報発信や問い合わせ対応が可能です。多言語に堪能な職員を採用するのは難しいですが、チャットボットを設置することで外国人のニーズを満たせます。
チャットボットを通して満足度が高まれば、観光や移住を検討している人へのPRにもつながり、地域活性化に効果を発揮するでしょう。
自治体のチャットボット導入事例
令和4年時点で340の自治体がチャットボットを導入しています。ここからは4つの自治体に絞って導入事例を紹介していきます。活用方法の異なる事例を紹介しますので、導入を検討している方はぜひ参考にしてください。
東京都八王子市:問い合わせ対応
東京都八王子市のホームページには、問い合わせ対応を目的としたチャットボットが設置されています。観光PRキャラクターの「はっちお~じ」が質問に答えてくれる仕様で、親しみやすさが感じられるチャットボットです。
日本語、英語、中国語、韓国語に対応しており、幅広いユーザーが想定されていることがわかります。住民は選挙や税金、福祉、防災など幅広いトピックに関する問い合わせが可能です。選択肢またはキーワード入力で求める情報にたどり着けるため、スムーズに疑問を解決できます。
神奈川県横浜市:粗大ごみに関する問い合わせ・申し込み受付
神奈川県横浜市のホームページには、粗大ごみの手数料や分別方法に関する問い合わせや、ごみ収集の申し込みができるチャットボットが設置されています。
ごみは品目が多く、処分したいものの手数料や適切な分別方法を調べるのは手間がかかるものです。しかし横浜市のチャットボットは、項目の選択のほかにフリー入力もできるため、すぐに知りたい情報が見つかります。
また横浜市のチャットボットは「オペレーターに相談する」という項目が用意されている点が特徴的です。チャットボットで回答にたどり着けなくても、すぐに担当者に質問できるため、疑問が残りません。
大阪府池田市:保育に関する問い合わせ対応
大阪府池田市のホームページには、保育所の空き状況や保育料に関する問い合わせができるチャットボットが設置されています。ユーザーの疑問に対して、テキストまたは詳細が書かれたページへのリンクを表示させることで疑問の解消に導いています。
チャット画面には毎月発行される「保育コンシェルジュ通信」の最新号へのリンクが掲載されています。情報の発信力を強化したい方の参考になるでしょう。
福井県永平寺町:観光案内
福井県永平寺町では、訪日外国人旅行者向けの観光案内を目的としたチャットボットが導入されています。導入の背景には、下記の課題がありました。
- 年間100万人もの観光客が訪れているものの、観光案内所が整備されていない
- 外国人訪問客が増えてきているものの、多言語に対応した人材の確保が難しい
課題解決への取り組みとして、観光案内所にチャットボットを搭載したタッチパネルが設置されたそうです。国内外からの観光客の質問に対して音声や画像、文字で回答する仕様で、スムーズな情報収集を可能にしています。観光名所を有する自治体の参考になる導入事例といえるでしょう。
自治体向けチャットボットの選び方
自治体が導入するチャットボットを選ぶ際は、下記の3点を押さえましょう。
- 導入目的を明確にする
- 運用しやすいツールを選ぶ
- 運用を見据えて費用を確認する
それぞれくわしく解説します。
導入目的を明確にする
目的によって適した製品や必要な機能は異なるため、明確にした上でチャットボットを選びましょう。自治体がチャットボットを導入する代表的な目的に「人手不足の課題を解消したい」「住民の利便性向上を図りたい」などが挙げられます。
人手不足をカバーしたいのであれば、特にどの部署の負担を軽減するべきかを明確にし、チャットボットで対応する領域を決める必要があるでしょう。またサービスの改善を図りたいのであれば、現在住民が不便に感じているポイントを補える機能を取り入れる必要があります。
運用しやすいツールを選ぶ
チャットボットは設置して終わりではありません。常に新しい情報を提供できるよう、継続的なシステムの更新が必要です。
自治体は扱う情報が多いため、データの追加・変更などの簡便性や、サポート体制が重要なポイントとなります。長期的な運用を見据えて、無理なく扱えるチャットボットを選びましょう。
運用を見据えて費用を確認する
自治体のチャットボット導入には、年間100万円~1,000万円程度の費用がかかるとされています。限られた予算の中で運用を続けられるよう、導入費用だけでなく、ランニングコストも意識してツールを選びましょう。
チャットボットの費用は、ユーザーからの質問数や搭載機能などによって変動します。想定される質問数や必要な機能が明確になっていれば予算感を算出しやすいため、これまでに収集したデータをもとに予測を立てておくことをおすすめします。
自治体のチャットボット活用のコツ
自治体がチャットボット活用を成功させるためのコツは下記の3つです。
- FAQデータの作成に手間をかけない
- 目立つ場所に設置する
- 登録した情報を定期的に更新する
それぞれくわしく解説します。
FAQデータの作成に手間をかけない
チャットボットに登録するFAQデータをゼロから作るとなると、膨大な時間がかかります。必要なデータは他の自治体と共通する部分が多いため、すでに利用されているデータを利用するのがおすすめです。
- チャットボットを導入している自治体にデータの共有を依頼する
- 自治体のFAQデータを所有するベンダーに依頼する
などの方法を試してみてください。
目立つ場所に設置する
チャットボットを設置しても、住民や観光客に気付いてもらえなければ意味がありません。そのためユーザー目線に立って、目立つ場所に設置することが重要です。
自治体ホームページに設置する場合、サイト訪問者が気づきやすく、クリック・タップしやすい場所に設置しましょう。また住民にとって馴染みのあるご当地キャラクターのアイコンを表示させたり、目を引く色を取り入れたりといった工夫も効果的です。
登録した情報を定期的に更新する
チャットボットの導入後は、住民や職員に常に最新の情報を提供できるよう、定期的に更新しましょう。古い情報を更新するのはもちろん、適切に答えられていない問いがあれば、新たなデータを登録することが重要です。「使いやすい」「便利」と思ってもらえれば、リピートや口コミにつながり、利用者も増えていくでしょう。
チャットボットを導入して住民の満足度を高めましょう
チャットボットを導入すれば、住民の疑問や悩みに即座に答えられるようになります。サイト内を探し回ったり、電話やメールで問い合わせたりする必要がないため、満足度向上につながります。
またチャットボットは自治体の人手不足の解消にも効果的です。メールや電話での問い合わせが減れば、職員の業務負担が軽減し、他の業務に専念できるようになります。
すでに導入している自治体も多く、住民からのニーズも高まっているため早めの導入がおすすめです。導入がまだの方は、本記事を参考にチャットボットの理解を深め、導入を進めてみてください。
自治体のチャットボット導入には「うちのAI」がおすすめ
自治体にチャットボットを導入するなら、ChatGPTをベースにした「うちのAI」がおすすめです。
通常チャットボットを導入する際は、データの登録や学習に手間がかかります。一方うちのAIは、サイトのデータや文書を学習させるだけで始められるため、すぐにリリースできます。
また住民や観光客からの質問が曖昧でも、AIが文脈をくみ取って回答するため、より多くの質問に応えられるのも大きな強みです。選択肢が提示されるシナリオ型のチャットボットの場合、何度もクリックして回答にたどり着く一方、うちのAIは1回の質問で答えを出してくれます。
また蓄積されたデータを活用しやすいのも、うちのAIならではの特徴です。ユーザーが入力したテキストが自動でレポート化されるため、改善につなげられます。気になる方はお気軽にお問い合わせください。
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