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チャットボット運用の課題と解決方法 | 改善事例と運用体制

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チャットボット運用の課題と解決方法まとめです。チャットボットの運用改善事例や運用体制も紹介。チャットボット運用の成功のコツやツールの選び方も解説しています。

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チャットボット運用はなぜ重要?

チャットボット運用はなぜ重要

チャットボットの導入目的は、問い合わせ対応の効率化や顧客満足度の向上など、企業によってさまざまです。

ですが、目的を達成するためには、常に変化するユーザーの疑問やニーズに対応する必要があり、チャットボット導入後の継続的な運用が不可欠です。適切な運用を行わずに放置してしまうと、回答が古い情報であったり、ユーザーが求める回答を返せなくなったりします。チャットボットの導入がかえって顧客満足度を低下させる原因になりうるため、適切な運用が重要になります。

チャットボット運用のよくある課題と解決方法

チャットボット運用のよくある課題と解決方法

チャットボット運用を行う中で、多くの企業が直面する共通の課題が存在します。

ここでは、代表的な5つの課題とその解決策を紹介します。自社のチャットボットの運用状況と照らし合わせながら、運用改善の参考にしてください。

チャットボット運用の課題
  • チャットボットの効果があるか分かりづらい
  • チャットボットの利用率が悪い
  • チャットボットの離脱率が高い
  • チャットボットの回答精度が低い
  • シナリオが複雑化し、メンテナンスが進まない

【課題1】チャットボットの効果があるか分かりづらい

チャットボットの導入効果を実感できない1番の原因は、運用結果が数値化されていないために起こります。数値化がなされていないと、コスト削減や業務効率化につながっているかが分からず、また改善の方向も定まりません。

解決策:データ収集と分析の仕組み化

チャットボットが利用された際のデータ収集と、そのデータの分析を仕組み化し、定量的に評価する体制づくりが必要です。計測するべき数値は以下の6項目です。

計測数値 分析する内容
有人での問い合わせ件数 チャットボット導入前後での有人対応の問い合わせ件数を比較する。
起動回数と対応回数 チャットボットが起動された回数と、どの程度の問い合わせに対応できたかを測定する。
回答率と解決率 「ユーザーの質問に対してチャットボットが回答を提供できた割合」と「提供した回答が実際にユーザーの問題を解決した割合」を計測する。
サイトへの遷移率 チャットボットがユーザーを特定のウェブページ(例:製品情報ページや購入ページ)に誘導した割合を測定する。
コンバージョン率 実際に商品購入や問い合わせフォームの送信など、設定されたコンバージョンが達成された割合を測定する。
ユーザー満足度 チャットボットとの対話終了後にユーザーから満足度を評価してもらう。

【課題2】チャットボットの利用率が悪い

チャットボットを導入しても、誰にも使われなければ宝の持ち腐れです。

「そもそも存在が気づかれていない」
「どうやって使えば良いのかが分からない」

などの理由で、利用率が伸び悩むのはよくある課題です。ユーザーにとって、チャットボットが問題解決の手段として認識されていない状態だといえるでしょう。

解決策:チャットボットの存在の認知拡大

チャットボットがユーザーの目に触れる機会を増やし、存在を積極的にアピールしましょう。「まずはこちらで質問してみてください」と、気軽に使えるような案内を一言添えるだけでも、利用のハードルはぐっと下がります。とくにWebサイト上での導線設計が重要になります。

認知拡大施策の一例
  • Webサイト上で追従させ、常に表示する
  • バナーやリンクで適切な導線を設置する
  • ニュースページやSNSなどで広報活動を行う

【課題3】チャットボットの離脱率が高い

チャットボットの利用自体はされるものの、すぐに見切りをつけられてしまう離脱率の高さも深刻な課題です。

チャットボットがユーザーの質問の意図を正しく理解できなかったり、提示される選択肢が分かりにくかったりすると、ストレスを感じてチャットボットから離れてしまいます

解決策:チャットボットのタイプに合わせた見直し

離脱率の改善策は、導入しているチャットボットの種類によってアプローチが異なります。シナリオ型チャットボットや辞書型チャットボットの場合は、会話デザインの設計見直しが必要です。会話ログを分析し、選択肢の文言を分かりやすくするなどの対応を行いましょう。

AIチャットボットの場合は、学習データやプロンプトの見直しを行うほか、実際のユーザーの言い回しを学習させるなどの対応が考えられます。

【課題4】チャットボットの回答精度が低い

チャットボットの回答精度の低さは、顧客満足度の低下に直結する課題です。ユーザーは問題解決のためにチャットボットを利用しているため、質問に対して見当違いな回答が返ってきたり、不正確な情報を提供したりしてしまうと、企業の信頼を損なうことにもつながりかねません

チャットボットの回答精度が低下する要因として、以下が考えられます。

チャットボットの種類 要因
ルールベース型 シナリオが限られていて特定の質問に対応できない
機械学習型(AI型) 質問意図を正しく理解できずに誤った回答する回数が多い

解決策:シナリオの見直しや学習データの差し替え

ルールベース型のチャットボットは、シナリオを作りこむほど答えられる質問の幅が広がります。質問から回答までの分岐フローが論理的か、選択肢は適切かなどを1つ1つ見直しましょう。

機械学習型(AI型)チャットボットの場合は、誤った回答の原因となっている学習データを特定し、正しい情報に修正・差し替える作業が必要です。また、会話ログの中から、多く寄せられる質問を分析し、新たなFAQとして追加する地道な改善が、回答精度の向上につながります。

【課題5】シナリオが複雑化し、メンテナンスが進まない

チャットボットの運用期間が長くなるにつれて、シナリオの分岐が複雑になりすぎ、誰も全体像を把握できていない事態に陥りがちです。

また、属人化が進むと、異動や退職があった際に、誰も情報更新などのメンテナンスを行えないようになり、チャットボットの品質が劣化するおそれもあります。

解決策:ツールの変更や運用の外注

現在利用しているチャットボットが管理しにくいのであれば、より直感的にシナリオの構築や編集が行えるツールへの乗り換えも検討すべきです。視覚的に分かりやすく、誰でも使えるツールなら、属人化を防ぎやすくなります。

もし、社内の技術力や知識不足、社内のリソース不足などが原因で、適切な改善作業が行えていない場合は、「運用代行を外注する」「社内で研修を行う」といった対応も必要です。

▼チャットボットを選ぶポイント

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チャットボットの運用改善事例

チャットボットの運用改善事例

実際にチャットボットの導入で課題を解決した企業事例を紹介します。理論だけでなく、実際の事例を知ることで具体的な運用イメージが沸くはずです。自社の状況に近い事例があれば参考にしてみてください。

事例1:株式会社ベネフィット・ワン

総合福利厚生サービス「ベネフィット・ステーション」のサイトリニューアルに伴って、問い合わせ件数が2倍に急増し、応対品質の向上が課題になりました。

そこでチャットボットを導入し、問い合わせ数や内容、返答率を日報として社内に報告。継続的にチャットボットのシナリオ改善を行いました。

その結果、導入から1年でメール・電話での問い合わせ件数を約40%削減、チャットボットの返答率も98.5%と高い水準を維持。業務効率化とサービス品質の向上に成功したそうです。

参考:https://chatbot.userlocal.jp/document/casestudy/benefit-one/

事例2:カツデン株式会社

サイトリニューアル後に資料請求の件数が半減してしまったという課題に対してチャットボットを導入。サイト上に常時表示されるチャットボットで、ユーザーがいつでも質問や資料請求を行えるように工夫したそうです。

チャットボットの導入後は資料請求の件数が月平均80件以上に回復しただけでなく、コンバージョン率も40%と高く、サイトに不可欠なツールとなったとのことです。

参考:https://botchan.chat/case/katzden

基本のチャットボット運用体制

基本のチャットボット運用体制

チャットボットで継続的に成果を出すためには、その場その場の対応ではなく、計画的な運用体制の構築が不可欠です。

ここでは、チャットボット運用の基本となる体制について解説します。

基本の運用体制
  • 運用における課題や目的を明確にする
  • 運用体制や運用ルールを構築する
  • KPIとKGIを設定する
  • 運用管理・改善を徹底する

運用における課題や目的を明確にする

まず、チャットボットを運用する理由を明確に言語化することが重要です。チャットボット運用の課題や目的を明確にすると、自然とゴールが見えてきます。

たとえば、オペレーターの人件費削減が目的の場合、顧客対応に最適化した運用を行うのが良いでしょう。ゴールが明確になると、運用方針や評価指標もおのずと決まり、効果的な運用体制が整います。

運用体制や運用ルールを構築する

どのような種類のチャットボットであれ、導入準備や運用中の分析などに対応する担当者が必要です。問題解決能力やコミュニケーション能力に長けている人材でチームを編成すると良いでしょう。加えて、「毎週の定例会実施」「緊急時のエスカレーションフロー」などもルール化しておくと、運用業務の属人化を防ぎ、チームとして一貫した対応が可能になります。

KPIとKGIを設定する

目的を達成できたかどうかの客観的な判断を行うために、KGI(重要目標達成指標)とKPI(重要業績評価指標)を設定します。KGIは最終的に達成したい目標のことで「コスト削減」などが、KPIはKGIを達成するための中間目標で「利用率」や「自己解決率」などが当てはまります。

たとえば、「トータルコストを30%削減」をKGIとした場合、以下のようなKPIを設定します。

KGI ・トータルコストを30%削減
KPI ・チャットボットの利用率を10%向上
・途中離脱率の5%低減

KGI・KPIの設定の際に重要なのが、計測可能な具体的な数値を用いることです。目標と結果の差異が明確になり、施策の精度が向上します。

KPIごとに必要な作業を細分化し、1つ1つ課題をなくしていけば、おのずとKGIを達成できるでしょう。

運用管理・改善を徹底する

チャットボットの運用は、一度体制を整えて終わりではありません。

PDCAサイクルを継続的に回していくことが何よりも重要です。ユーザーのチャットボットへの入力履歴や回答へのフィードバックをもとに分析すれば、ユーザーの潜在的なニーズに気が付きます

また、定期的なシナリオのアップデートや再学習も重要な改善作業です。改善作業をこまめに繰り返せば、ユーザーの求める回答を提供できるようになり、顧客満足度を向上させられます。

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チャットボット運用を成功させるためのコツ

チャットボット運用を成功させるためのコツ

チャットボット運用を成功させるために、とくに重要なポイントをまとめました。基本となる運用に加え、これらのポイントも押さえておきましょう。

運用を成功させるコツ
  • スモールスタートで運用を開始する
  • ユーザーへの利用案内を徹底する
  • 運用しやすいツールを選ぶ
  • 外部の専門家や運用代行サービスも検討する

スモールスタートで運用を開始する

最初からすべての問い合わせに対応しようとせず、まずは特定の部門や特定の質問だけに範囲を限定して始めるスモールスタートが成功の秘訣です。

たとえば、「返品・交換に関する問い合わせ」などの領域に絞ってチャットボットの運用を開始します。そこで得られたデータや知見をもとに、対応範囲を広げていくことで、導入時のトラブルのリスクを抑えながら、着実に成果につなげられます

ユーザーへの利用案内を徹底する

ユーザーの目に触れる場所にチャットボットを設置するだけでなく、チャットボットで何ができるのかを分かりやすく伝えることも重要です。

「24時間いつでも質問できます」「手続きに関する質問はこちら」といった具体的な案内を添えると、ユーザーは安心してチャットボットを利用できます。チャットボットのできることを正しく伝え、積極的に利用を促しましょう。

運用しやすいツールを選ぶ

どれだけ多機能で高性能なチャットボットであっても、現場の担当者が使いこなせなければ意味がありません。

そのため、チャットボットツールを選ぶ際には、専門的な知識がなくともFAQの追加やシナリオの修正が行えるか、管理画面は見やすいかなどの、毎日の運用の行いやすさを重視してツールを選びましょう。

無料のトライアル期間などを利用して、操作感や回答精度を実際に見てみることをおすすめします。

▼チャットボットを選ぶポイント

外部の専門家や運用代行サービスも検討する

社内にチャットボット運用のノウハウやリソースが不足している場合、内製化にこだわる必要はありません。

専門知識を持っているコンサルタントにアドバイスを求めたり、運用業務を代行サービスに委託したりするのも1つの判断です。また、チャットボットのベンダーによっては充実したサポート体制がついている場合があるので、確認しましょう。

外部の知見の活用により、自社だけで取り組むよりも早く確実に成果を出せる可能性があがります。

チャットボット運用を成功させるツールの選び方

チャットボット運用を成功させるツールの選び方

チャットボット運用の成功可否は、導入するツールによっても大きく左右されます。ですが、多種多様なチャットボットの中から自社に最適なツールを選ぶのは決して簡単ではありません。

ここでは、チャットボット選定で失敗しないために、押さえておくべきポイントを解説します。

選ぶ際のポイント
  • 自社に適した種類のチャットボットか
  • 分析に適したツールであるか
  • サポート体制は充実しているか

自社に適した種類のチャットボットか

チャットボットには、設定した流れに沿う「シナリオ型チャットボット」、登録した単語に反応する「辞書型チャットボット」、自由な文章で会話できる「AI型チャットボット」などの種類が存在します。

たとえば、手続き案内のように決まった対応が中心ならシナリオ型、簡単なQ&Aが目的なら辞書型が適しています。一方で、複雑な質問にも柔軟に答えさせたい場合はAI型が適しています。

自社の導入目的や想定される質問内容などを考慮し、どの種類のチャットボットが最適かを見極めることがツール選びの始まりです。

分析に適したツールであるか

チャットボット運用のPDCAサイクルを回すためには、データに基づいた分析が欠かせません。管理画面で利用数や解決率、離脱率、会話ログなどが可視化されているツールを選びましょう。さらに言えば、これらのデータを抽出しレポートとして出力できる機能があると、効果測定や分析にかかる時間が大幅に短縮できます。

サポート体制は充実しているか

チャットボットの導入後に発生する疑問やトラブルに、迅速かつ丁寧に対応してくれるサポート体制があるかも確認しておきましょう。電話やメールでの問い合わせはもちろん、専任の担当者が運用改善の相談に乗ってくれるようなサービスがあれば、より心強いです。

導入前だけでなく、導入後のアフターフォローも手厚いベンダーの選択が、長期的な成功へとつながるでしょう。

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チャットボット運用は課題認識と継続的な改善が重要

チャットボット運用を成功させるためには、まず自社が抱えている課題の正しい認識が必要です。課題に目を瞑るのではなく、チャットボットの利用率の低さや回答精度の問題などに真摯に向き合うことが求められます。

そして、課題の解決には、計画的な運用体制のもとで継続的PDCAサイクルを回し続けなければなりません。

データの分析を通じて新たな課題を発見し、改善を繰り返す地道なプロセスこそが、チャットボットの運用を行ううえで最も重要です。


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